ミニスカポリスは男のロマン-後編-












「え、土方さんが運転してくれるんですか?」

巡回時間

屯所の前に停まるパトカーの前では目を丸くした。

「…しょーがねーだろーが。今日は俺とお前ペアで巡回なんだから。

 この前みたいな運転されちゃたまんねーんだよ」

銜え煙草でそう言って、土方は運転席に回る。

世にも珍しい、運転する鬼の副長。

も言われるまま助手席のドアを開けて座席に座った。

「ぅわー人の運転で巡回なんて久しぶり!

 特に土方さんの運転なんか超貴重じゃないですか!」

「ったく…何で俺が車の運転なんか…」

土方はブツブツ言いながらエンジンをかけ、ベルトを締める。

も嬉しそうに笑いながらベルトを締めた。








パトカーをかぶき町付近の川原に停め、

車から下りて街を巡回する2人。

すると

「あ。万事屋の旦那だ」

はそう言って前方を指差す。

土方は眉間にシワを寄せた。

「お」

向こうのこちらに気づき、立ち止まる。

「何だ何だ、仕事サボってデートかコノヤロー」

「見回り中だ。テメーみたいな万年暇人と一緒にすんな」

ニヤニヤと笑う銀時に、土方は鋭い睨みを返した。

「…なんか、制服違わないですか?」

銀時の隣に立っていた新八が首をかしげてを見る。

「あー…コレは…ちょっと…

 真選組クビの危機っつーか命の危機でしょうがなく…」

は頭を掻いて苦笑する。

「いやしかしアレだな…俺ずっとナース一筋だったけど

 ミニスカポリスもいいもんだな。新たな発見だよ」

銀時は顎に手を当ててしげしげとを見た。

ハーフパンツ姿は見慣れたが、

さすがの銀時も初めて見るミニスカ姿に興味深々だ。

「おいテメー、ウチの隊士にやらしい視線向けんのやめろ」

土方はそう言って煙草を指に挟み、更に鋭い目で銀時を睨む。

「何ですか保護者のつもりですか?

 ミニスカポリスは皆のモンだろうがよ。占領すんな」

「意味がわかんねーよ。そんなに好きなら本庁のブタ箱に入れてやろうか?

 毎日ミニスカポリスが拝めるぜ」

睨み合う二人。

ははーっと溜息をついて額に手を当てる。

すると

"巡回中隊士に連絡!巡回中隊士に連絡!!

 かぶき町付近で宝石強盗犯の車が店に突っ込みそのまま逃走中!

 付近を巡回中の隊士は直ちに確保に当たれ!!"

「「っ」」

が胸につけている無線から近藤の声が響いた。

土方との目つきが変わる。

「ちッ…!おいパトカー置いた場所まで戻…

 ってオイ!何してんだお前!!」

は電柱の釘に足をかけ、そこから身軽に店の屋根にのぼった。

「あたし上から行きます。多分パトカーが追ってこれない裏路地に入ると思うから」

「上からってお前…ッスカートで…」

「パンツ見えんぞー」

銀時も屋根を見上げ、に向かって言う。

「スパッツ履いてるんで大丈夫です」

「そういう問題じゃねェだろ!!

 あんま派手に動くんじゃ…ってオイ!!!!」

土方の声も聞かず、屋根を蹴って隣の屋根に飛び移った。

屋根の上を走り、次々と屋根を渡って路地の方へ向かっていく。

土方はハーッとため息をついて前髪をかき上げた。

「…忍者みてーだなオイ」

銀時は目の上に手で傘をつくって小さくなっていくを見る。

「アイツの身のこなしは隊一だ。腕っぷしじゃ当然俺達には敵わねェが、

 あんな身軽に動ける奴ァ他にはいねー」

「副長ォ!」

4人の背後から山崎が走ってきた。

「先ほどの逃走車ですが、現在公道を反れて裏道を暴走中との情報が入りました!」

山崎はびしっ、と敬礼する。

「…アイツの勘通りってことか。行くぞ山崎!」

「はい!」

土方は山崎を連れてが向かった方向へ走っていく。

「…大変ですねェ真選組も」




ドォン!



ドォン!!





屋根を飛び移るの耳に、車が何かにぶつかる音が大きく聞こえてきた。

少し前方に煙が立って、十字路の交通状況が乱れている道路がある。

「…いた!」

の目が、パトカーに追われて走る黒い車をとらえた。

すると

!」

「っ総悟」

屋根下の道路から総悟の声。

パトカーの助手席に座って窓から顔を出している総悟。

総悟は身を乗り出し、後部座席に積んでいたバズーカをに向かって投げてきた。

「ほらよ!」

「ぅわっ!」

ずしっ、と重いバズーカに驚きながら、はそれを両手に抱えて総悟を見る。

「裏路地に入られたらパトカーは入れねェ、

 公道に出る道は全部塞いどくからお前が仕留めろィ!」

「了解隊長!」

はそう返事をして、道を右の路地に逸れた。

遠くなっていくパトカーのサイレンに耳を傾けながら、

屋根から下りて細い路地を川に向かって走る。




「裏路地に入っちまえばこっちのモンよ!!

 なーにが真選組だっての!!」

胸に抱えた袋に煌びやかな宝石をたくさん詰め、

男達は細い路地を川方面に暴走しながら突き進んでいた。

角を曲がり、少し開けた道路に出ると、道の真ん中に少女が1人立っている。

「何だ…!?」

「あの隊服は…真選組…!?」

「や、でもミニスカ…ミニスカポリスなんですけど…」

は猛スピードで近づいてくる車に臆することなく、

バズーカを小脇に抱えて真っ直ぐ前を見据えていた。

「構わねェ!轢いちまえ!!」

男は更にアクセルを踏む。



ジャカッ



はバズーカを右肩に乗せた。

「あばよ」









ズドン!!!!










白い閃光と同時に大きな爆音

車は吹っ飛んで数メートル先で川に落ちた。










"ミニスカポリス翔ぶ!!

 お騒がせ真選組、宝石強盗犯逮捕!犯人は奇跡的に軽症"









「「「「……………………」」」」



翌日の朝刊を見て押し黙るヤクザとゴリラとマヨラーとドS。

新聞の一面にはミニスカートで屋根を駆けるの写真がデカデカと乗っていた。

当のはテーブルに頬杖をつき、せんべいを食べながらテレビを見ている。

「…オイお前これ…どーするよ」

「知らねーよ…」

冷や汗を流す近藤に土方は呆れ顔。

「しかしよく撮れてまさァ。

 コイツァ切り抜いて額縁に飾る他ねーでしょう」

「やめろ」

バキッ、とせんべいをかじり、は総悟を睨む。

「おじさんはなぁ、これちょっと問題なんじゃねーのってお上から

 説教食らったばっかりだよ」

煙草を銜え、松平は肩を落としてを見た。

「あーよかった。廃止になって。

 やっぱこれが一番楽ですよね。あぐらかけるし」

はそう言って座ったまま伸びをして足を崩す。

ミニスカートとニーソックスではなく、

いつものハーフパンツと白足袋。

「俺はなァ、お前がこんなムサイ男連中と一緒に住んで

 お前にオッサン臭さが移るのが嫌なんだよ!!」

バンッ、とテーブルを叩いて力説する松平。

はふーっとため息をつき、体を真っ直ぐにして松平を見た。

「…とっつァん」

「確かに長年ここで暮らしてるから女の子らしい言葉や仕草なんてカケラもないし、

 普通の女の子とは違うと思うよ。でもそれは全然恥ずかしいことなんかじゃなくて、

 ここで剣を奮うのに必要なことだから」

真っ直ぐ、真剣な目。

「護りたいもの護るために此処にいる、刀を抜く、

 今のあたしにとってそれが全てだから、それ以外の装飾品は要らないんだ」




「あたしは女だけど刀を差してる以上は武士だから、

 とっつァんの望む女の子には、なれないよ」




はそう言って苦笑する。

4人は目を丸くしてを見た。

「………チッ…小娘がナマ言いやがって」

松平は舌打ちをして立ち上がり、

短くなった煙草を灰皿に押し付ける。

「オイ。テメー今一番食いたいモンは何だ?」

「へ?えー…とぉ…駅前にある洋食屋さんのオムライスかなぁ…

 1日20食限定の」

は顎に手を当て、クビをかしげて考えた。

「んじゃ今度それ食いに行くぞ。奢ってやっから。

 それで今回の事は勘弁しろ」

障子を開け、靴を履いて縁側から出て行く。

はそれを聞いて嬉しそうに笑った。

「はーい」

元気よく右手を上げ、返事をする。





たまにはミニスカートも悪くない。

…かもしれない。








 

真選組固定ヒロイン第2弾。
お通ちゃんが1日局長だった時も
スカートとか特殊なのではなく男子の制服まんまだったから
ホントそういうのは用意してないんだと思う(笑)
ヒロインのためだけにとっつァんが張り切ってオーダーしました。ミニスカート。