Figthig Girl!-後編-
ガシャン
路地の自販機でミネラルウォーターのペットボトルを買って、
大江戸マートで買った薬と一緒に口に含んだ。
「効けばいいなぁ…」
ボトルを口から離すと同時に深くため息をつく。
(あー…なんかフラフラする…お腹痛くて朝御飯食いっぱぐれたし…
すげェ血が足りない気がする…)
額に手を当て、堅く目を瞑った。
すると
"緊急連絡!緊急連絡!!"
「ッ」
胸の無線機に近藤の声。
"幕吏3名が殺害された!犯人は攘夷浪士5名!
目撃者の情報によると現在かぶき町方面へ逃走中らしい!"
「…ちッ…タイミング悪いな…」
は舌打ちをして無線機の音量を上げた。
そして来た道を戻り、かぶき町へと走る。
"パトカーで移動中の奴はかぶき町付近に検問を張れ!
それ以外の者も捜索に当たるんだ!!"
走りながら無線機を伸ばし、口元に持ってきた。
「近藤さん、浪士の特徴は?」
『か?お前腹は…』
「んなこと気にしてらんないでしょ。
浪士の特徴教えて下さい。かぶき町近くまで来てますから」
腹を押さえ、表情険しく無線の近藤に向かって言った。
『目撃情報があったのは深緑の着物のパンチパーマの男と、
派手な着物の長髪だ。グラサンかけてたらしい』
「大方攘夷浪士を騙ったチンピラってとこじゃないですか。
ンな目立つならこの辺りでも目撃され…」
かぶき町の街に入り、大きな路地を走っていると
目の前の食堂から浪士がぞろぞろと出てくるのが見えた。
深緑の着物
腰の刀
パンチパーマ
グラサン
「…ビンゴ」
はニッ、と笑い、立ち止まる。
『は?ウンコ?お前無理は…』
そして無線機の電源を切った。
「おいテメーら」
男達の後ろに立ち、刀の柄を握る。
「あぁ?」
店から出てきた男たちは睨みをきかせて振り返った。
「幕吏殺害容疑で逮捕する。署まで来てもらいましょーか」
「なんだテメー」
「女のクセに刀なんか差しがやって」
男たちはにガンを飛ばしながら近寄ってくる。
は毅然とした態度で男達を睨み返した。
「この制服…真選組じゃねェのか?」
「ハッ!真選組だろーが何だろーが、ただの女じゃねーか!!
刀なんか振ったところで刀に振り回されるのがオチだぜ!!」
言われ慣れた愚弄の言葉も、
こんな状態じゃいつもに増してイライラを募らせる。
いつもなら刀抜きでシメにかかるところだが、
「…試してやろうか?」
柄を握り、刀を抜く。
周囲の野次馬がどよめいて後ずさりをした。
「面白ェ」
男達も次々と刀を抜いた。
「「「死ねッ!!」」」
5人がほぼ同時に走り込んで距離を縮めてくる。
男達が目の前で詰めてきた瞬間、
は目にも止まらぬ速さで男の間合いまで詰めた。
「ッ」
ゴッ!!!
刀を逆にして、逆刃で男の首の付け根を勢いよく叩く。
「ぐぁッ!!」
手前の男はその場に倒れた。
「…っこのアマァ…!!!」
男達は目の色を変えて再び突進してくる。
は振り返ると同時に右足を振り上げた。
強烈な回し蹴りが男の顔面を直撃。
男は鼻血を拭いて倒れる。
残りの男も、次々となぎ倒して行った。
「すげェ!!」
「さすがチンピラ警察!!」
野次馬から歓声が上がる。
(チンピラは余計だよ)
はふーっとため息をつき、無線機を手に持つ。
「……つっ…」
集中を切らすと襲ってくる激痛と眩暈にヨロついて、
壁に寄りかかった。
(あー…クソッ…誰か応援来いよー誰かかしら居んだろかぶき町巡回してる奴…)
額に手を当て、堅く目を瞑る。
すると
「ッ!」
鼻血を流したままの男に、後ろから雁字搦めにされた。
(しまった痛みに気をとられて…!)
「……っ調子に…乗るんじゃねェぞ幕府の犬がぁ!!」
ドゴッ!!
「ッぐっ!!」
向かいの男が勢いよくの腹を蹴る。
「…こっ…の…!!」
一度顔を前に出し、後ろの男の顔に後頭部で頭突きをかました。
「っげほッ…ゴホッ!…は…ッはぁっ…痛っ…」
もともとの痛みに加えて強烈な蹴り。
腹ン中がぐるぐるしてて気持ちが悪い。
「所詮力じゃ男には敵わねェだろ!?
女のクセにでしゃばってんじゃねーぞ!あぁ!?」
大声で笑う男。
は左手で腹を押さえ、柄を握る手に力を入れた。
『女が武士になんか』
『なれるものか』
「…………ッ」
ギリッ、と歯をくいしばる。
「……メんな…っ」
「女ナメんな!!」
刀の刃を斜めにして、右足に力を入れた。
すると
「「全くだ」」
「ッ」
男の声と
横を通り抜ける2つの影
そして
「…土方さん……総悟…」
浪士の首元で交差する2つの刃
「…女をあまりナメない方がいいですぜ」
「コイツは色気も品性もねェ。女とは言い難てェがな」
は目を見開く。
目の前に立つのは土方と総悟
「野郎のテメーよかずっと芯が通ってらァ」
「そんなテメーに「女のくせに」なんて言う資格はねーんだよ」
土方がそう言って不敵に笑うと同時に、遠くからパトカーのサイレン音が聞こえてきた。
パトカーが数台来て、浪士たちは本庁に送還されて行った。
騒然としている現場の隅で、
は壁によりかかって腹を押さえ、険しい顔をしている。
「さすがに痛むだろ」
「っ土方さん」
人込みを抜け、土方が近づいてきた。
は唇を尖らせ、フイと顔をそらす。
「べ、別に。なんてことないですこれくらい」
ポン
「あーこりゃ打撲してんじゃねェかィ」
蹴られた場所に総悟が軽く手の甲で叩いた。
「いっ…ッ!!!!!」
は両手で腹を押さえ、その場にうずくまる。
土方はふーっとため息をついた。
「いくら鍛えてるっつったって華奢な女の体に変わりはねーんだ。
ンな薄っぺらい腹に野郎の蹴り食らえばそれが普通だろ」
は辛そうに顔を上げて土方を見上げる。
土方はを追い越し、立ち止まって振り返った。
「帰んぞ。近藤さんが土産買って待ってる」
「………土産? 出張なんて行ってましたっけ?」
「…何ですかこれ…」
屯所に戻ったは眉間にシワを寄せる。
テーブルに山盛りに積まれたそれ。
お徳用カイロ。
「腹に貼っとけ!そうすりゃ良くなるって、女中さんが教えてくれたぞ!」
近藤はそう言って大きく笑った。
はカイロを手にとって困った顔。
「あと腹巻も買っといた!どの柄がいい!?」
近藤がカイロの横に並べる腹巻。
花柄やうさぎ柄、ハート模様などなど
可愛らしい柄の腹巻が並べられている。
「…なんか…すっげー恥ずかしいんですけど…」
は軽く赤面して持っていたカイロで顔を覆った。
「悪りィが、俺たち芋侍には女への気配りなんざ持ち合わせちゃいねーんだ」
隣で白い煙を吐き、土方が言う。
は顔を上げて土方を見上げた。
「アレで許してくれよ」
テーブルのカイロと腹巻でふざけ合う近藤と総悟。
は土方から視線をそちらに移す。
そして呆れるようにフ、と笑った。
「分かってますよ」
男所帯でヒロインはトイレとかどーすんのって話ですが、
とっつぁんがヒロインが思春期突入と同時に女子トイレを作りました。
もちろん個室1つで完全ヒロイン専用の。無駄にピンクなのはとっつぁんの趣味。
…っていうどうでもいい設定付きです(笑)
逞しく生きて欲しいものですね。