ミニスカポリスは男のロマン-前編-








「松平のとっつァんが?」

近藤の部屋に呼ばれたは、正座のまま眉間にシワを寄せる。

「ああ、何でも直接渡したいモンがあるんだとよ」

「…何ですかね?」

は首をかしげ、顎に手を当てる。

「小遣いでもくれんじゃねーのか?お前栗子ちゃんと年近いし、

 とっつァんも娘みたいに思って所あるしな」

近藤はそう言って腕を組み、ハッハッハと笑った。

「揃ってんな」

ガラッと障子を開け、人相の悪いオヤジが入ってきた。

警察庁のドン、松平片栗虎。

「とっつァん、に渡したいモンっつーのは一体なんなんだ?」

「おう、厳選された素材で俺がの為だけに作らせた超一級品よ」

松平はそう言って持っていたアタッシュケースをテーブルに置く。

「まさかっ…新しい刀か?!」

近藤はテーブルに手をついて身を乗り出した。

「刀だぁ?んな危ねェもんじゃねーよ。いや、立派な凶器にもなりうるだろーが…」

パチン、とケースのロックを開け、フタを開く。



バサッ!!




松平が持っているそれを見て、の表情がいっきに冷めた。

「…なんスかこれ」

「テメーの新しい制服だ」

「制服って…」

近藤も目を細める。



「…ミニスカポリス」



黒のミニスカートと黒のニーソックス。





げしっ!!!






「何すんのお前ェェ!!!」

松平が手に持っていた制服をジャンプキックで蹴り飛ばす

制服は畳の上に落ちた。

「てめーの趣味を人に押し付けんじゃねーよエロジジイ。

 婦警プレイがしたきゃイメクラ行けよ>」

冷たい目をしてテーブルに足を乗せるを、近藤がなんとか後ろから押さえる。

松平は慌てて畳に落ちた制服を拾いあげた。

「んだとお前!栗子がなぁ!最近どんどん着物の丈が短くなってくんだよ!!

 それを最近パパの視線がやらしいとか言ってなぁ!!」

「アンタの家庭事情なんか知らないし!!だいたい今のこのハーフパンツだって

 野郎と一緒じゃ可愛気がないってアンタが…」


ジャカッ


「ッ」

の額に銃口が向けられた。

うぉォおおいとっつァァん!!!

何しちゃってんのぉおお!?


後ろでを押える近藤の顔が青くなった。

は眉間にシワを寄せて銃口を見る。

「これ着ろ。着なきゃドタマブチ抜く」

「バカかアンタ!!」

「ミニスカポリスは男のロマンなんだよ!!」

「ロマンのために部下の頭ブチ抜くってか!?バカだアンタ!!大馬鹿モンだ!!!」

「娘にないがしろにされかけてるおっさんの心を癒すを思ってよぉ!!」

「オメーの娘も十分ミニスカじゃねーか何が不満なんだよ!!娘に癒してもらえ!!」

「だからおまっ…視線がいやらしいって言われてるっつっただろーが!!

 娘に四六時中いやらしい視線向けてらんねーだろーが!!」

「あたしにならいいのかよ!?」












…そんなこんなで。


「……………」

渡された制服を着て屯所内を歩く

普段からハーフパンツで足を出しているが、

やはり短パンとミニスカじゃ見え方が全然違う。

しかも黒のオーバーニーソックス付き。

初めて見るスカート姿に隊士の誰もが目を奪われているのだが

彼女の剣幕に誰もが1歩たじろぐ。

(…目の前で拝みてェ…)

(拝みてェけど…)


(((((怖くて近寄れねぇェェェ!!!!))))


華奢な背中から滲み出る殺気立ったオーラ。

間違って声なんかかけようものなら、

睨み殺されそうな、そんな雰囲気が漂っていた。

(何だってあんなオッサンが長官やってんだこの国!!

 天人どうこう関係なしに滅ぶ!!ぜってー滅ぶこの国!!!)



「せっかく生足出してんだからもっと艶っぽく歩きなせェ、お嬢さん」



背後から声。

声の主が分かっていたので、は振り返ると同時にその人物を睨む。

「…どーせ笑いに来たんでしょ」

「いやいや、今のうちに写真でも撮って野郎共に

 売りさばこうかと思ってんでさァ 
はいチーズ

「傷を抉るようなことしてんじゃねーよ!!」

インスタントカメラを顔の前まで上げる総悟。

はそのレンズを手の平で覆う。

それを縁側に座って眺めていた松平と土方。

「…しかしアレだな、の奴怒鳴り方がトシに似てきたな。

 育て方間違ったんじゃねーのか」

「別に育ててねーし。長年男所帯でやってきたんだ、言葉遣いも悪くなんだろ」

ライターで先端に火をつけ、大きく吸い込んでフーッ、と煙を吐く。

「いーやあのツッコミは完全にお前のコピーだ。

 初めてゴリラが連れてきた時にゃあ澄んだ瞳で可愛くてなぁ…

 それが今はそこらの男より逞しく育っちまって…パパ悲しい」

松平はそう言って目頭を押さえる。

「可愛いと思ってんならあんな格好させんじゃねーよ」

「あんな格好って、今時の若い女は皆あんくらいの丈の着物来て歩いてんだぜ。栗子だってそうだ

 アイツも年頃だろ?女らしい格好の1つや2つ、させてやりてェじゃねーか」

松平は顔を上げ、ポケットから出した煙草を銜える。

「アイツは女らしい格好して歩きてェなんてこれっぽっちも思っちゃいねーよ。

 派手に動き回んのが好きな奴だ、スカートなんざ刀振るのに動きにくいだけだろーが。

 アイツに1日中交通整備と検問させてろってのか?

 俺たちはアイツを婦警にするために真選組入れたんじゃねーんだよ」

土方は呆れた顔でため息をついた。

「よく言うぜったくよォ…ゴリラがいきなり小娘連れてきて

 真選組入れるなんつった時はオジさんどーしたモンかと思ったね」




『聞いてくれとっつぁん、

 今日からコイツを真選組に入れる!!』




「総悟みてーな若造もどうかと思ったが、同い年のしかも女子ときた。

 孤児になった小娘拾って剣術教えるたァ…

 馬鹿でお人好しのゴリラが考えることは昔っからムチャクチャだ」

煙草の煙と一緒に大きなため息をつき、庭で総悟を追いかけるを目で追う。

土方は横目でそんな松平を見て、視線をに移した。

「…確かにな」

そして呆れるように笑った。

「生意気だわ女のクセに言葉遣いはなってねーわ、

 総悟とツルんで悪知恵ばっか働くわ…正直俺も扱いには困ることもある。つか毎日困ってる」

庭にいるは総悟からカメラを奪い取って、

隅でミントンしてる山崎のところへ走った。

「でもまぁ…一緒にいる時間も中途半端に長げェしな…

 腐れ縁っつーか、妹みたいなもんだな。アイツは」

膝の上で頬杖をつき、遠くのを見て柔らかく笑う。

「何ィィ!?妹だァ!?

 ミニスカポリスに「お兄ちゃんv」なんて羨ましいんだよこの野郎ォ!!!」

「アンタ俺の話聞いてたか!?」






To be continued